日本でもロボットやAIが盛り上がり始めてきましたが、この分野の人材を育成するSTEM教育とは?
STEM教育とは
「STEM」は「Science(科学)」、「Technology(技術)」、「Engineering(工学)」、「Mathematics(数学)」の頭文字をとった言葉です。
STEM教育とは、現代の社会はインターネットが普及しテクノロジーが発展してあらゆる産業でこれらの分野が必要不可欠になってきているため、統合的に教育に取り入れて次世代を担う人材を育成することを言います。
アメリカでは国家戦略として年間数十億ドル規模の予算を投じて、2020年までに優れた科学・数学教師を10万人養成すること、STEM分野の大学卒業生を100万人増やすことを目標にしています。
ヨーロッパ各国でも10年以上前から技術や工学と理数系学問を体系化したSTEM教育が行われてきました。
日本ではSTEM教育の取り組みとして2016年6月に文部科学省から、小学校でのプログラミング教育の必修化を検討し、2020年度からの新学習指導要領に盛り込む方向だと発表されました。
初等中等教育にSTEM分野を取り入れることが見られますが、世界各国の取り組みの様子を見ると、今後の日本もより一層の取り組みが必要ではないかと感じてしまいます。
STEM教育の考え方は大きく2つあると思います。
- STEM分野の優秀な人材を育成すること。
- STEM教育によって高度な論理的思考能力や創造性、問題解決能力を育成すること。
1についてはSTEM分野のプロフェッショナルを育成して、変化していく現代社会の状況に適合することです。
いまは産業の中心が情報技術・電子/機械工学になってきていて、職業の種類もそれに合わせて変化しています。
世界の企業時価総額ランキング(2017年度)をみると上位では多くがSTEM分野に関連した企業です。
2017年の世界時価総額ランキングでは50位内に日本企業は1社のみです。
また、近年は人工知能(AI)が発展し多くのニュースで耳にするようになりました。
近い将来に様々な職業が人工知能に取って代わると言われています。
それにより多くの雇用が喪失することが予想されます。
そのような状況においては、よりSTEM分野に雇用の機会が増えるため将来を見据えた取り組みとして、STEM分野の人材育成が必要になると考えられます。
2についてはSTEMに特化した人材の育成ではなく、STEM教育によって高度な論理的思考能力や創造性、問題解決能力を育成することを目的とした考え方です。
STEMに精通せずとも変化する現代社会生活の様々な場面で対応能力を発揮できるようにすることです。
日本で始めようとしている小学校でのプログラミング教育必修化の目的は、どちらかと言うとこちらになるかと思います。
実際には、現代社会は日々変化し、情報にあふれ、科学技術中心の世の中になっています。
例えばインターネットを使うときも、何が正しくてどうすれば安心して楽しく過ごせるのかを考える機会が増えました。そういった時も、感情論だけでは解決できず、物事を科学的に検証して解決する能力が必要になります。
就職して会社などで働くようになっても、ほとんどの職種でパソコンを使ってメールを書いたりいろいろな資料を作成することも必須となります。
職種によりますが仕事で何らかの問題が発生したときは、問題を解決して関係者に説明するために科学的検証をして、内容が理解できる根拠を整理する必要があるかもしれません。
つまり、現実的には上記の1と2の能力をバランス良く身につける必要があるのかもしれません。
STEM分野のプロフェッショナルになる必要はないかも知れませんが、ある程度理解して主体的に取り組むことのできることが重要だと思います。
世界的な状況をみると、日本は遅れていることが否めません。
将来も楽しく過ごしていくためには、変化に適応することが大切な要素であると思います。